青木ヶ原樹海&洞窟探検に子供とチャレンジ!手つかずの広大な森で、富士山の神秘を体験しました 2022.06.26 トレッキング 山梨県
真っ暗な天然の地下洞窟にチャレンジ!
樹海に入って30分ほど歩くと、いよいよ富士風穴の表示が見えてきました。この横に地面にぽっかりと開いた大きな穴。「うわぁ~、お父さん、おっきな穴があいてるよ~。ねえ、忍者さん、これが洞窟なの?」と娘は興奮気味にガイドさんに尋ねます。「洞窟はこの階段を降りた下だよ。ちょっと険しいけど、下りれるかな?」。
下を覗くと、階段といっても、岩を積んで作った荒々しい段差です。ちょっと心配になりましたが、「大丈夫! おもしろそう!」と大人の手を借りず、ひょいひょいと下りていく様は、まるで娘が小さい忍者です。ここの地点で標高約1,000m。
この日は暑くもなく寒くもないちょうどいい温度でしたが、階段を一段下りるごとに体感温度が下がり、8m下の風穴前に着く頃には、ひんやりとしてきました。「涼しいね~。気持ちいい~! 早くつららが見たい」と娘はニッコニコ。
富士風穴は、富士山の爆発によって流れ出した溶岩流で誕生した横穴式の洞穴。富士北麓の洞穴の中で一番多くの氷を蔵する富士風穴には氷柱や、溶岩棚、縄状溶岩などを見ることができます。手すりや歩道が整備された観光洞窟は行ったことがありますが、ここは、真っ暗の本物の火山洞窟。国の天然記念物にも指定されており、ガイドツアーでしか足を踏み入れることができません。
風穴内は夏でも氷が張っており、気温は0℃。ヘッドライトと手袋を装備すると、探検気分が盛り上がってきました。「風穴の中は凍っている場所もあるので、絶対に走らない、ジャンプしない、そして何も持ち出さない持ち込まないことを守ってください。必ず溶岩につかまりながら、私の後に続いてください。真っ暗だけど大丈夫かな?」とガイドさん。大人でもちょっと不安になるくらいの本格的な洞窟です、娘の顔を見ると、「う~ん、ちょっと怖いけど、つららを見たいから行ってみたい!」と勇気を出してくれました。
長さ230m以上、幅5~10m、天井は平均5mと大きな風穴ですが、溶岩につかまりながら、次の足場を探りつつ足を運ばねばならなりません。ヘッドライドで見える視界が限られているので、一歩ずつ慎重に歩みを進めます。ちょっとドキドキ。ところが小柄で身軽な娘は、コツをつかむと、軽々と難所を超えていくじゃないですか! ああ、父親の威厳がなくなる(笑)。娘に遅れを取りながら、風穴中ほどの、溶岩が開けた場所に来ると、何やら地面がキラキラと輝いています。
「うわあ、きれい! ねえねえ、忍者さん、あれなあに?」と娘。「あれは氷の筍と書いて、氷筍(ひょうじゅん)。洞窟の天井から滴る水が床に落ちて、瞬時に凍りつく自然現象だよ。床から生えたタケノコみたいでしょ?」。
「いろんな大きさのタケノコがあるね。透明で、すごくきれい~」とうっとりする娘と、しばし氷筍を見つめました。氷筍は時間をかけて少しずつ純度の高い氷に結晶するので、曇りがなく透明度が素晴らしいんです! ヘッドライトの光が乱反射して、キラキラ輝く氷筍の群れに囲まれていると、まるでファンタジー映画の主人公になったような気分にさせてくれます。
「まだ奥まで行けますがどうしますか?」とガイドさんに尋ねられました。これより先は狭いので、ここで引き返す人も多いそう。うーん、どうしようかな、と娘に聞こうとした瞬間、僕の問いかけより先に、娘が「行く!」と大きな声で答えます。「すごいねえ。奥まで行く子どもはめったにいないんだよ。うちの子は男の子だけど、怖がって行けなかったよ」と苦笑いのガイドさん。
「だって、絶対につららが見たいんだもん!」とまだまだ元気いっぱいの娘。さながら僕は勇者(娘)のお供をする後方部隊です(笑)。最深部にたどり着くと天井から大きな氷柱が何本も下がっていました。「わーい!つららだー。初めて見た! うれしい~」と興奮を隠しきれない娘の笑顔を見ると、ここまで来てよかった!としみじみ思いました。
帰りは歩いてきた道を辿ります。風穴内は0℃ですが、デコボコとした険しい道を全身を使って歩くので、体がポカポカと温まり、それほど寒さは感じません。出口に近づくと、暗闇からぱあっと陽の光が差し込み、なかなか幻想的。非日常のファンタージー気分が十分に味わえた富士風穴でした。
洞窟探検を終えると僕らのお腹はペコペコ。樹齢400年以上のブナとミズナラの巨木帯でお昼ごはんをいただきました。木漏れ日を浴びながら食べるおにぎりは最高です。この巨木帯には、変わったカタチをした木も多く、ヤマブドウのツルがグルグル巻いている木もありました。このヤマブドウのツルは、とても丈夫で太いツルはブランコにもなります。
さっそく娘もブランコに挑戦。「うわ~! 楽しい~。すごいすごい!」と大喜び。僕は娘を高い位置まで引っ張り上げて押す係です。これがけっこう力がいるんですよ。ちょっと腕がだるくなってきたので、「まだ、乗るの? もういいんじゃない?」と、さりげなく促すも、「やだー、まだ乗りたい。もっと高いところまで引っ張って」とさらなるオーダーが(笑)。最後まで元気いっぱいの娘と、最後にどっと疲労が蓄積した父親でした。
「樹海はきのこをいっぱい見つけられたのが楽しかった。洞窟は全然怖くなかったよ! 暗いところも楽しかった。つららが見たかったので、見つけたときはうれしかった。また、行きたい。一番楽しかったのは、ヤマブドウのツルのブランコ!」と娘も満足した様子。
本物の森と洞窟を体験できて、とても有意義でした。娘が植物に興味を示してくれたこともうれしかったです。終始、娘のパワーに圧倒されていたので、これからもっと外遊びの機会を増やして挽回したいです(笑)。ところで、「樹海に入ると方位磁針が乱れて、二度と出られない」という都市伝説がありますよね。ずっと気になっていたのでガイドさんに聞いてみました。ガイドさんによると、溶岩の中には鉄などの磁性鉱物が含まれているので、その影響で磁気が乱れることもあるのだそう。
「ほら、見てください」とガイドさんが方位磁針を地面に置くと、わずかながら針が動きました。でも、立ち上がって手に持つと、針は元に戻り、正しい方位を指しています。つまり、真相は普通に使えば、樹海で方位が乱れることなく、迷子になることもないのです。長年のミステリーの謎も解けて大満足の樹海&洞窟ツアーでした。
<文/永浜敬子 写真/宮川朋久>
- 山梨県南都留郡鳴沢村鳴沢8532−63 道の駅なるさわ
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