
アクティビティの楽しみが倍増!絶対会うべきガイド②伊豆大島「ケンボーダイビング」ケンさん 2020.07.12 スキューバダイビング 伊豆大島・八丈島
全国各地のアウトドアレジャーを紹介する「SOTOASOBI(そとあそび)」。
アウトドア経験が豊富なナビゲーターが現地へ足を運び、実際に体験取材をしたツアーを掲載しているのが特徴です。
年間何十社も取材をする中で、ナビゲーターの心をいつまでもつかんで離さないガイドがいます。そんな素晴らしいガイドをたくさんの人に知ってほしい!
そこで、ナビゲーターが本気で惚れた魅力的なガイドを紹介する企画をスタート。2回目は「ケンボーダイビング」のケンさんをナビゲーターの染谷遥が紹介します。伊豆大島の自然の魅力を何倍にもして見せてくれる、頼もしいガイドです。
【目次】
- 伊豆大島南部におけるダイビングフロンティア時代の立役者「ケンさん」
- 探求心と好奇心の賜物!新しいダイビングスタイル・ジオダイブを発案
- 「ケンボーダイビング」が開催するジオ体験ダイビングツアー
伊豆大島南部におけるダイビングフロンティア時代の立役者「ケンさん」
東京・竹芝からジェット船で約1時間45分とアクセス抜群の伊豆大島。1年を通して透明度が高く、魚も豊富なため、東京都内の魅力あるダイビングスポットとしてたくさんのダイバーに愛されています。
今でこそ、メジャーになったダイビング。しかし、30年前の伊豆大島には、まだダイビングコンプレッサー(タンクの中に詰める空気を圧縮する機械)が北部と南部にそれぞれ1機ずつしかなく、ダイビングを行うには不便だったといいます。
そのため、ダイビングショップもまだ数件ほど。特に南部の浜辺は、火山噴火後のごつごつした地層が色濃く残っていたため、気軽にビーチエントリーができる場所が少なかったそう。
くわえてボートエントリーをするにも、漁協との安全面などの兼ね合いもあり、ダイバーが使えるポイントが閉港されていたようです。
使い勝手が悪かったこともあって、数件しかないダイビングショップはすべて北部に集中。
そんな状況下であえて南部にお店を構えたのが、今回ご紹介するケンさん。南部でのダイビングショップ第1号店をオープンさせた人です。
一見うまみが少なそうに見える南部で、どうしてお店を構えようと思ったのか理由を尋ねると、別になんてことはないよと笑いながら「誰も潜ったことがない場所で潜るのって楽しそうじゃない」と一言。
閉鎖されたポイントを開港してもらえる様に、貝やアワビの取り手として漁協のお手伝いをしていくうちに、船外機(船やボートに取り付ける駆動装置。帆のない船であれば、これがないと動かない)を貸してくれるようになり、漁業権も取らせてもらえたといいます。
ケンさんが築きあげた漁港との良好な関係は、当時閉されていたポイントを、すべて開港するに至りました。
ダイビングポイントを開拓する作業は、うまくいったりいかなかったりと結果はさまざまで、運試しのような面白さ、宝箱を引き当てる面白さがあったといいます。
ビーチエントリーであれば、足がつくところからのスタートなので、ポイントとして悪ければ、すぐに引き返して別のポイントを探せばいいですが、ボートエントリーではそうはいきません。
船から「ここだ!」と思ったポイントに潜ってみても、岩場もなければ魚の一匹すら見られなかった…なんてことも良くある話だったようです。
漁師さんに使えそうなポイントを教えてもらっても、魚群探知機のないボートでは、教えられたポイントから10mずれただけで何もないという世界。だからこそ“当たった”時の感動と興奮はひとしおだったといいます。
目の前に広がる岩礁でできた大きなアーチ、自分の何十倍もある回遊魚のトルネード…誰も見たことのない景色を今、自分が見ている。ポイント名には自分で考えた名前を付けたりして遊んだりもしたそう。
地元の漁師さんと一緒になってたくさんのトライアンドエラーを重ね、現在、伊豆大島トウシキ南部で楽しまれている約20ヶ所のポイントのほぼすべてを開拓しました。
地形や海の生き物を調べるリサーチダイビングではなく、ポイントを探すリサーチダイビングを経験しているダイバーがどれくらいいることでしょう。
伊豆大島南部のフロンティア時代を支えたケンさん、かっこいいです!
探求心と好奇心の賜物!新しいダイビングスタイル・ジオダイブを発案
ジオとは英語で「地球」や「土地」を意味する言葉。
ジオダイブとは、ダイビング前に地質学、地層学を学ぶことで、ダイビングというレクリエーションにもっと深みを持たせるダイビングスタイルのことです。
2010年、伊豆大島がユネスコ世界ジオパークに認定されて以降、ジオガイドの資格を持ったガイドの下でジオダイブツアーが開催されています。
ジオダイブの誕生は、魚の説明のみで終わりがちな当時の水中ガイディングの常識を覆しました。
アカデミックな要素たっぷりなジオダイブですが、ケンさんも発案者の1人。
始まりはジオパークとして認定される前の2005年。
金沢大学で地質学について教鞭を振るう先生がセミナーの為に来島した際、ドライバーを頼まれたことがきっかけだったそう。
先生を送り届ける車中、地質学の観点で語られる伊豆大島の成り立ちについての話に大興奮。
話を聞くまでは、その辺に転がる溶岩を“ただの石ころ”としてしか見ておらず、興味がなかったけれど、今まで見てきた陸上の地層や海中の景色には、すべて物語があることに気づくと途端に興味が湧いたといいます。
これはダイビングが下火になる冬季、陸上ガイドとしての仕事になるかもと思い立ったケンさんは、南部のダイビングショップ・シーサウンドの小川さんと共に“ネイチャーガイドクラブ”を設立。
以来、学者さんが来島した際は、伊豆大島の地層や地形に関して教えてもらい、知識を蓄えては、陸上ガイドとして活動する日々が続きます。
そしてある夏の日、ケンさんが海中で柱状節理を発見!
柱状節理とはマグマが冷えて固まってできる柱のこと。海中にあるということは、以前そこは陸上であったという証。伊豆大島の地層学・地質学解明の一助になる発見でした。
そうした活動が功を奏し、2010年にユネスコの世界ジオパークに認定。
陸上ガイドだけでなく、ダイビング中のガイディングにも活かしたら面白いのではないか。それでジオダイブが誕生したというわけです。
ジオダイブというガイディングスタイルが確立されたのは、ケンさんや小川さんの好奇心や探求心の賜物だったのですね。
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伊豆のダイビング・スキューバダイビングで出会える魚&ツアーまとめ!
「ケンボーダイビング」が開催する体験ジオダイビングツアー
伊豆大島南部・トウシキに店舗を構えるケンボーダイビングでは、ダイビングのライセンスを持っていなくても、体験ジオダイビングツアーに参加できます。
ツアー前には、ジオガイドの資格を持ったガイドがストーリー性を持たせながら地形の成り立ちを説明します。
地層学のシンポジウムや火山博物館にも頻繁に足を運び、知識を蓄えたガイドが説明してくれるので聞きごたえ抜群。
ダイビング中には、いま自分がどんな地球活動の歴史の中でダイビングしているのか実感できること間違いなし!
ダイビングの楽しさは魚を見るだけじゃありません。地質学を学んだベテランジオガイドのケンさんと一緒に海中から地球の火山活動を見てみれば、人生観まで変わるかも!伊豆大島へぜひ会いに行ってみてください!
SOTOASOBIナビゲーター・染谷遥
中学生のころからスキューバダイビングをはじめ、レクリエーショナルレベルで最高ランクとなる「マスター・スクーバ・ダイバー」のライセンスを持つ。乗馬やヨット、トレッキングなどにも精通し、プライベートでは狩猟免許を持つハンターでもある。
現在までに全国130社以上のアウトドア事業者を取材。モットーは「取材時の興奮が冷めやらぬうちにメモを残し、熱い思いをしっかりインプットする」。
良いガイドはツアーを何倍も面白くする!
ツアーを選ぶとき、その内容や舞台となる自然にばかり注目しがちですが、良いツアーには良いガイドが不可欠です。ツアーに参加したら、ぜひガイドが果たす役割にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
アウトドアレジャーの予約サイト「SOTOASOBI(そとあそび)」では、全国のツアーを多数紹介しています。あなたも参加して、お気に入りのガイドを見つけてみませんか?
(文:染谷遥)
※掲載されている情報は公開日のもので、最新の情報とは限りません。
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