起源は6000年以上前！長いカヌーの歴史をまとめてみた 2015.10.20 カヌー・カヤック

太古の人々が水上交通や狩猟の道具として作り、世界各地で文明と共に発生した舟のひとつがカヌーの原型とされ、カヌーの起源はなんと6000年以上前に遡ることができるそう。遥か遠い昔に起源を持つ、長いカヌーの歴史についてまとめてみました！

最も古いカヌーは約6000年前のユーフラテス川畔のシュメール人の王墓に！

カヌーは人類にとって生活に根ざした最も古い道具のひとつであり、その起源については、世界中に似たような手漕ぎの小型船が存在し、カヌーというひとくくりでは特定できないのが現状です。

しかし、エジプトから中央アジア、東南アジア、オセアニア地域がそもそもの起源と言われており、日本の古代カヌーである丸木舟は、南方から伝来したとされています。

現在知られている最も古いカヌーは、約6000年前のユーフラテス川の河畔のシュメール人の王墓に残されているとされる他、同じ頃に極東アジアの北極圏から北米、南米に至る地域でも、諸民族がカヌーに乗っていたという報告があるようです。

南北アメリカのインディアンの小舟や、南太平洋ポリネシアのアウトリガーカヌー以外にも、ヨーロッパ各地で太古のカヌーが発見され、日本でも先史時代以前の丸木舟がおおよそ200例も出土されています。

現代でスポーツやレジャーで使用されているカヌーは、「カナディアンカヌー」と「カヤック」の2つに大別されますが、カナディアンカヌーは北米インディアンの移動及び輸送手段として生まれ、現在のような形に発展したのはヨーロッパの人々が新大陸にやって来た以後のことのようです。

現在のアメリカ・メイン州東部とカナダのノバスコシア州に相当するアカディア地方に点在する湖が水路で結ばれており、先住民の乗り物であったカヌーが交通手段として利用され、次第に小型化して今の姿になった模様です。

「カヌー（canoe）」の語源はカリブ諸島の「カノア（canoa）」とされ、軽い小舟を指すスペイン語に由来するそうです。

他方、アリューシャン諸島のエスキモーが使用していた「クアヤ（quaja）」は、アザラシなどの海獣の狩猟を目的とした座席以外をアザラシやトナカイの皮で張った船で、「カヤック（kayak）」の語源になっています。

「男の舟」として使用されたこの「クアヤ」は座席部分に皮が張られ、両側に水掻きがある今で言うダブルブレードパドルを使って漕がれていたそうで、乗船していたエスキモーたちは転覆しても起き上がれる高度な技術を持っていたとか。

彼らが主に荷物の運搬用に使用していた「ウミアック（umiak）」は、舟の上部が開いているオープンデッキ型の皮舟で、「女の舟」という意味があったようです。

スポーツやレジャーとしてのカヌーは、19世紀中頃、イギリスのテムズ川からヨーロッパへと広まったのが始まりです。

イギリスのテムズ川下流では1850年代、既に近代的な甲板のあるカヤックの原型が見られ、この普及に貢献したのがスコットランド出身の法廷弁護士で冒険家のジョン・マクレガーでした。

マクレガーは1865年、ロブロイ号と名付けた自作のカヤックでヨーロッパ各地の川を巡り、そのエピソードを綴った著書がベストセラーとなってカヌーの人気を高め、スポーツや競技としてのカヌーを発展させました。彼は「近代カヌーの祖」とも呼ばれています。

1924年にデンマークのコペンハーゲンで競技カヌーの国際組織である国際カヌー連盟が設立され、1930年には第1回の世界選手権大会が開催。1936年の第11回ベルリン大会で、カヌーはオリンピックの正式種目として採用されました。

このベルリン大会に参加した日本のボート選手団役員が、ファルトボートと呼ばれる組立式のカヤックを持ち帰ったことが、日本のカヌー競技の起源です。

1960年代にはグラスファイバー製のカヌーが登場し、スポーツとしてのカヌーが普及することとなりました。1980年代に入ってから、現在のカヌーシーンの主流であるポリエチレン製のカヌーが現れ、以後レジャーとしてのカヌーが発展を遂げることになったのです。

有史以前から人々の身近な道具として長い歴史を経て発展してきたカヌーは、スポーツやレジャーとしても無数の人々を魅了し続けています。

カヌーやカヤックに乗って自然と一体化する喜びは何物にも代えがたいものであり、カヌーの水面に近い低い視線から見る自然の景色も大きな魅力です。

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